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インタビュー・カンボジアで出会った日本人(3)

本日のカンボジアで出会った日本人は、産業人材の育成やカンボジアと日本の相互理解を深めることを目的に、日本の支援で設立されたカンボジア日本人材開発センター(CJCC)で、国際協力機構(JICA)が実施するプロジェクトのチーフアドバイザーを務める伴さんです。

『少し意外でしょうが、私は定年近くまでずっと技術屋だったんですよ』

伴さんは、今の職業とは少し畑違いのようにも思えるHONDAの開発技術者の出身。

ヨーロッパの研究所に7年間勤務していた経験はあるものの、アジアとは長い間無縁だったと言います。

しかし、56歳で本田財団の常務理事を務めることとなり、その一環でインド、ベトナム、カンボジア、ラオスなどを含む各国の科学技術の発展を支援する取り組みに参加。これがきっかけでアジアと関わることとなりました。

その時のご縁で定年退職後,CJCCでビジネスコースの講師を務め、その後、JICAのプロジェクトのチーフアドバイザーとして協力の要請があり、今に至ります。

『多分私が民間企業の出身ということがあって、お声が掛かったんでしょうね』

CJCCでは日本的経営、日本型のビジネスをカンボジアに根付かせることを目指しています。

もちろん滅私奉公とか年功序列とかいうもう古くなったビジネス慣行をそのまま持ってくるのではなくて、日本的経営の良いところを当地の風土に融合させて、日本発のカンボジア型の成功モデルを作ることが出来れば、と伴さんは語っています。

Japan as No.1という言葉が一昔前に流行りましたが、カンボジアでは今でもMade in Japanへの信頼はかなり高いものがあります。

街を歩けば走っている車のほとんどがTOYOTA、バイクはHONDAが占めています。多くの人が日本製は壊れないから安心だと口を揃え、日本製ということが大きなブランドになっている。

『これらはあくまでただのモノですよね、そのモノに顔を作るというか。これらの良い製品の背景にあるヒトの営みを汲み取ってもらってカンボジアという国が伸びていって欲しいと思っています。』

しかし日本とは全く違う文化、習慣の国でそれを行っていくことの難しさを聞くと、いくつかエピソードを教えてくれました。

私もこれまでに各方面の方からこの国でビジネスをしていく上での困難などを聞いていたので、『やっぱり大変なんですね』と言うと、意外な答えが返ってきました。

『私はそうは思わないんですよ。ボスの思い通りにスタッフは動かない、日本でも同じじゃないですか?

色んな人が色んな個性を持って、違っているからこそ、どう一つにまとめるか。

だから経営っていうのは必要なんですよ』

続けて、いつも前向きで将来の夢に向かって頑張っているカンボジアの人の姿を見ていると、その未来は明るいと希望を語ってくれました。

カンボジアの現在の経済の状況を伺うと、CJCCを訪れるカンボジア人のビジネスマンは中小企業のオーナーが多く、その悩みは面白い程に共通していると答えてくれました。

2000年以降の経済成長率が平均で8%を 越えるカンボジア。景気はいいものの、社長一人で回している会社がほとんどであるため、お店なら4~5店舗までが限界で、後継者や片腕となる人材が育っていない状況だといいます。

伴さんはこの状況に、HONDAで培った日本的経営の組織オペレーションを伝えていきたいと意気込んでいます。

また、カンボジアの若者が抱える問題として、有名大学を卒業しても身につけたスキルに対して見合う就職先がないことを挙げてくれました。

カンボジアにはまだまだ大企業が少なく、有名大学を卒業してもウェイターとして働かざるを得ない若者もいるそうです。

そこでCJCCは『大企業に就職できないなら、自分たちで起業しましょう』ということを提案し、そのノウハウを「起業家向けビジネスコース」の中で提供しています。

現在は、 ビジネスの分野で成功した卒業生が、講師として教壇に立ち、実地で学んだノウハウを後輩たちに伝え、彼らに夢を与えるという好循環が生まれはじめているそうです。

CJCCが掲げる産業人材の育成が徐々に形になっている。

 

私が今回のインタビューで印象的だったのは 、伴さんから『ご縁がありまして』という言葉が何度も出てきたことです。

最近『定年後は東南アジアでスローライフ』、『東南アジアでセミリタイア』という言葉をよく聞きます。

そんな中で、定年後にカンボジアに仕事で来られたというのもチャレンジャーですよねと私が尋ねると、

『そうですかね、ご縁があったので成り行き任せというか。
自分の好奇心に身を任せているだけで、その成り行きが面白いんですよね』
続けて、『あまり道をかきわけて進んできたっていう気持ちはないんです。

定年で終わりってことは誰かに決められることでもないし、まだ遊ぶには早いかなって思っただけなんですよ』と答えてくれました。

海外でビジネスをするということはもちろん刺激があり、面白い反面でそれ以上の困難も伴います。
日本とは違う慣習や文化に戸惑う機会も多いと思います。
ましてや発展途上国と言われる国でなら、なおさらのことです。
その時に色んな人が色んな個性を持って、違っているのが当たり前だと柔軟に考えることが出来るかどうか。

伴さんが話していた、ご縁や成り行きに身を任せるという、ある種のゆとりを持った態度で臨むことも海外でビジネスを続ける秘訣のように感じました。

カンボジア日本人材開発センター(CJCC):最近では日系企業の進出の増加に伴って、採用のお手伝いや日本語を従業員に学ばせたい企業へのテーラーメイドの研修なども 行っており、今後は日系企業とカンボジア企業がつながる場所を目指していきたいと伴さんは話します。

カンボジアでのビジネス支援を多く手がけているからこそ蓄積されたノウハウも多く、カンボジア進出を考えられている方は一度相談してみてはいかがでしょうか。 お問い合わせはこちら(CJCCジャパニーズリレーション大野)まで。

また、CJCCでは、カンボジアと日本の文化交流なども行い、両国の相互理解と友好関係を促進するためのKIZUNA FESTIVALなるイベントも手がけています。私もお邪魔させて頂きましたが、日本の空手や合気道の演武からコスプレ、ゆるキャラのマスコットなど目白 押しの内容で、カメラやスマートホン片手に多くのカンボジア人が来場しており、改めて日本の文化への人気の高さを感じました。

2013年度のKIZUNA FESTIVALの様子

   

こちらがCJCCさんのHPになります:http://cjcc.edu.kh

インタビュー・文:大崎 章弘

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